ハルマンの価値観
・ハルマンの正義感・永田町事件の動機
彼にはこんな信念があった。
「隠し事はなし、悪党を見逃さない、堅気に手を出さない、子供を戦場にださない、人体実験も記憶消去も言語道断」
彼にとっては記憶とは人間存在そのものであり、それを消すなど殺人に等しいと考えてもいる。
ゆえに現状に我慢がならなかった。
「異能を持った子供達が前線で戦い、一般人を巻き込みあまつさえそれを隠すために記憶を消す。
しかも結局すべては闇から闇に葬られるために根本的な解決にならない」
それが彼にとっての90年代以前の現状だった。
ゆえに彼は現状を破壊し、その正義を貫くために壮大な黒幕とならざるを得なかった。
そして彼は「全てを公の元に明らかにして犯罪者は闇から闇に始末するのではなく、法の裁きを受けるべき」という信念の元陰謀を巡らせた。
そのためにまず魔法と異種族の存在を公表し、彼らの犯罪を不能犯とさせないようにした。
またいろんな組織の悪事をばらしまくった。結果として大惨事になったが、彼はそうなると知ってそれでもやった。
そのために神祇局や同盟、八百万といった組織を立ち上げ、準備していた。
しかし、その野望を成した後は、彼はもはや表舞台で政治を行うことはないだろう。
彼は自分は時代遅れの老兵だと考えており、今の時代は今を生きるモノに任せるという視点に立っている。
ただし、目の前で起こる悲劇があった場合は容赦なく介入してくる。
彼がこんなにも日本で暗躍したのはただ「日本ですばらしい友人達に恵まれたから」「彼らの子孫の暮らす地を守りたい」という日本びいき。
ただし彼の「悪党は必ず裁きを受けなければいけない」という考えも混ざったため手段が過激になってしまった。
・魔術観
基本的に「人として一人前でない者がなぜ人道を超える魔道を歩めると思ったのですか?」というスタンス。
彼にとって「人としての幸福を捨てて魔道に生きる」というのは根本的に納得できていない。
彼にとって魔術とは本人の強い意志や覚悟あってこそのものという考え。
親が子に継がせるようなことではない、それでは魔道の源である強い意志など芽生えない。
しかし教えを乞う者にはもったいぶらず教えてしまえばいい、と考えている
また彼にとっては魔術師は「知の探求者」でもあり、それは科学も他の流派も何もかもを含めた広い範囲の知識を求める者である。
彼にとっては「科学嫌いの魔術師」というのは到底理解の出来る存在ではないのだ。
とはいえ、それらのこだわりは魔術師を名乗る者に対してだけであって、他の流派の存在や元々人外なものにはかなり寛容。
むしろ東洋系の呪術にはかなり敬意を払っている。
とはいえ、それが生け贄などやり始めたら容赦なく潰すのだが。
・善悪の判断基準
基本的に大人に対してはわりと厳しめ、科学者や魔術師といった技術者にたいしてはそれはもう倫理観が厳しい。
ただし、子供と被害者に対しては自業自得でない限り激甘。
また、正当防衛は彼にとって絶対であり、正当防衛で殺しちゃったのならばわりと許してしまう。
・神仏観
「神は高みから人間の進化を見下ろしていれば良い、自分勝手に要らなくなったから滅ぼすなどという神などいらない」
「伝統ある魔術体系、神仏には敬意を払うべき。使い魔扱いなど何様のつもりか。とはいえ、それらが人に徒なすなら狩る」
「神とは願いを聞いてくれるモノではなく、拝み奉ってどうか何もしてくれるなと封じるべき存在」
・死生観
悪党を裁きにかけるため、魔術の暴露まではどうあっても死ねないが、その後のことは正直もう弟子に任せているので、
できればかっこよく死にたい。という死に場所を探すロマンチストでしかない。
・天道光波陣
彼の技の一つであり、信念の形だが、これの元となった渇望は実は2つ。
「すべてを魔法のように都合よく救いたい」
「すべてを支配したい」
の二つである。
どちらも他者をほぼ信用しておらず、自分がやりたいことは自分でやるしかない、というのが根源。
いくつもの悲劇を見た彼が願ったのは「救済」であった。
そして歪んだ彼の心はこんな形でしかそれを実現できなかった。
自分でもそれを卑しいと感じている一方、それはそれとして、この力は人類にとって有効なので、自分が死んだら能力だけ切り離して誰かに譲ろうかな…と考えているほど。